修理・調律

閲覧ありがとうございます。 このページは現在 書きかけ中です。近いうちに完成させる予定ですが、旧HPの記事も 画像がないまま入れていますから、話のすじが入り組んでしまっているかもしれません。   気長にご覧ください。
より実践的な修理の事例や専門的な響き、調律のお話は FACEBOOK にアコーディオン修理塾 という名で記事を連載しています。どうぞそちらにもお立ち寄りください。

 

調律を理解し、ご自分でもやってみたいという場合、またどこか調律を依頼するという場合にも、アコーディオンの構造、部品の概要を知っていると、より手短かに課題が解けるかもしれません。

巷で聞く 間違ったアコーディオンの知識、手入れ、ひどいのは「ノークレーム、 ノーリターン」というオークションの呪文。当方では辛口のコメントも出てきますが、アコーディオンの文化をより豊かに、ストレスをすくなくしたい、という願いに基づくものです。 ご意見歓迎します。


おすすめしたい  FACEBOOK の「アコーディオン修理塾」。

2013年から毎週のように日々の工房での修理事例やアコーディオンの構造の説明、海外の修理人の仕事ぶりやらイタリアのメーカーの工場風景など、珍しい情報を満載しています。

系統だった説明にはなっていませんので、根気強く記事を読んでいただけるかたであれば 歓迎します。 左がそのページ バックです。左の画像をクリックすると FACEBOOKの修理塾 にリンクします。見学無料。

 

目次:
およそ以下の順番で 記事をアップしますが、 脱線したり 割愛したりしますので、必ずしも 目次のとおりにはなっていませんのでご理解ください。

1 楽器の構造、しくみ
2 音、調律
3 リード、さぶた革、リードブロック
4 キーボード
5 音色スイッチ
6 ジャバラ
7 ベースボタン スタンダード
8 ベースボタン 3+3
9 肩ベルト
10 ジャバラバンド
11ベース リストバンド
12ケース
13オーバーホール
14部分修理
15修理期間
16修理料金

1 アコーディオンのしくみ
アコーディオンはリード(振動する小さな細いハガネの板)を、ジャバラでおこした風の力で鳴らす楽器です。41鍵盤だと 41音、つまり41セットのリードがありますが押し引きで同じ音を出すため押し用、引き用の1対で1音をつくりますから 41音のばあい 41×2=82個のリードがあります。
さらにMMLとかHMMLと呼ぶように、オクターブ(12音)違いのリード列や中音域(M, つまりミディアムMedium の M)は少し音高を上げ、あるいは下げた同じような Mのリードを別に1セット、もしくは2セット組みこんで 多彩で深い、奥行感のある音色を出すように作られています。 このいくつかのリードセットを 鍵盤にとなりあわせの 音色スイッチを押すことで、その組み合わせを変える、つまり音の性格をかえて演奏できる、という特徴があります。パイプオルガンの仕組みを応用したものだと思われます。4accordion_scan01 350S
リードに風をおくるジャバラがあるのも特徴の1つです。こいだとき強い風が楽器の中で動きます。それがリードにあたって音がでます。風はジャバラを引く時と押し戻す時では、流れが逆になります。その風をうまくリードにつたえる工夫がリードに貼った革(さぶた革)によって可能になります。

またピアノやギターは音の  減衰  といって、叩いた音は数秒以内に消えていきます。アコーディオンはジャバラが動いている間は、音が鳴りつづけます。なめらかな管楽器に近い音で演奏ができるという特徴があります。
左にはベースユニットという仕掛けがついています。1台のアコーディオンで右でメロディを弾いて、左でたとえばリズムを刻む。1台でちょっとした楽団のような効果の演奏ができます。ベースには同じようにリードがあります。12音(オクターブ)が4セットあるいは5セット組みこまれていますから、ドの音を弾くと 4セットリードだと引きで4つのドが、押しで別なドの4つが鳴るのです。Cメジャーだと ドミソ ですから引きで3×4セット=12個のリード が一斉に鳴るわけですね。小さくとも迫力のある左の音はこの 重ね合わせたリードから生まれる音なのです。(アコーディオンがどのように生まれたかは、この巻末に一部を書きました)。

 

 

c40ee0c3dbce5d6d031aec60f05bc69c-448x6002 音 調律
修理のおななしで一番、関心のあるのは 音、音質、ピッチ、ノイズのない音など、音に関することです。 お客様から 「調律してほしい、 いくらかかりますか?」という質問がよく出ます。
じつは調律というのは、修理という仕事の最後に出てくる 仕上げ の部分のことなのです。調律の前にしなくてはならないことがたくさんあって、いきなり調律をどうこうする、どのくらい時間が、お金がかかる?というご質問にはこたえられない、というのが正直な話です。

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音が安定して出るためには以下のようなこと、 チェックが必要です。
・鍵盤はスムースに動いているか (鍵盤に動きのムラや作動ノイズが大きいと調律しても問題を残したままになります。右だけではなく 左のベースもチェックしないといけません。ベースボタンの動きや、音色スイッチ、左手を通してみて違和感がないかどうか)


・音色スイッチは正確に動いているか (音質をきめるスイッチに操作上の問題がないことが重要です。スイッチの作動が不確かだとリードの鳴り方が不安定になったり、別な音が混在するので違和感が出ます。)


・エアもれがないか (USED楽器に限らず アコーディオンは蛇腹を押さないでもわずかに開く、ということはあります。程度によりますが、そのこと自体は大きな問題ではありません。シューという音がするようなエアもれなどが問題です。)

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 ・内部をあけてみて(上 画像) リードの表面のうらおもてを見て、状態を確かめます。(さぶた革ー後述ーや笛(リードブロック)の状態をみます。


・さぶた革がカールしていたり、不均等に開いていたり、あるいはカビ、変色 などがないかどうかを見ます。

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・こういったチェックをして、はじめて調律まえにやらないといけない作業が何と何で、期間と手間がわかります。 もちろんすべてを思い通り、完璧にやる、修理などは無いでしょう。 気持ちよく弾ければ それで構わない、という希望であれば その方のご希望に添うような必要な作業のみを行います。
・そのあとが 調律なのです。

 

 

 

 

 

3 リード さぶた革 ブロック

1)リード革

リードの語源は河原に生えているアシの一種だそうです。この茎を削ってオーボエなどの楽器の振動板にしたことから、植物の名=リード=簧(した)と呼ばれるようになったのです。

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2 036air flow 350S 5風の力をムダなく音に変えるのがリード革で、風の流れの逆支弁の機能を果たします。表のリードが鳴る時は、革がぴったりしまって、風力をリードに集中。裏のリードが鳴る場合も、裏に貼った革が働きます。
リードの大きさ、したの強さに適応するリード革(さぶた革)があります。プラスチック革(バルブ)も機能は同様で本革から最近ではプラスチック弁を使用するケースが増えてきています。
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リードにはリードにあったサイズと柔軟性のある(戻る力)を確かめながら準備します。
革の裏(バックスキン)の毛あしの方向をみて、根もとを下(リードの鋲のあるほう)にして貼ります。
糊は以前はセラックを溶いて使うことが多かったようですが、今は イタリアでも工業的な接着剤(Colmante)を使います。 揮発しやすく、固くなって使いづらいので私は、G17 (コニシボンド)を使います。接着力が強すぎると、再修理のとき、その革が傷んで使えなくなります。貼りしろも重要なポイントなので、 貼り直しの際にも不利です。

低音域から、1オクターブ前後は革のもどりを確実に、柔軟にするためのブースターピンをつけます。10-reedleatherS012
当然ながらリードの内側(弾く時の音でいえば、ジャバラを引いたときのリード)にも同様に革を貼っていきます。これはかなり慣れが必要で貼ったあと、チューニングベローなどで音を出して、異音のないことを 確認しながら、貼っていきます。(革の方向がそれるとプッという音や、とぎれ音が出てくる)プラスチック革はブースターピンのかわりに、1枚、2枚の重ねがあるため、作業は早くできる。

 

よくいただく質問で、本革とプラスチックとどう、違うのか?プラスチックは安物で本革は高級品か?

接地(弁がもどったとき)の際、プラスチック系は「カシャ」というような乾いた音がわずかに出てくる。本革はこれが少ない。

ただ、経年の安定性でいえば変化しにくいプラスチックが有利で、最近の機種はかなりプラスチック系が優勢になってきている。ベース部の最初のオクターブ、2つ目のオクターブには革のほうが具合がいいようだ。

 

1)アライメント
リードはよく見るとプレートよりわずかに湾曲して、反り上がったような感じで 取り付けられている。
この湾曲のぐあいやリードプレートとのすきまリードの反応を調整することをアライメントという。へこみすぎ、出っ張りすぎ、ななめ、ヘッドの状態と実際の音量、立ち上がりを チェックする。10-reedleatherS

プレートとリード(簧)のすきまは、20-30ミクロンという極めて微細なすきまに設定されている。この隙間にジャバラのエアが流れ込んでそれが起動力になって はがね のリードを押し込み、またそのリードの反発力で戻って、また エアで押し込む。この動きが瞬時に連続しておこってリードは鳴る。 長期間経過すると、このすきまが右、左にずれたり反りが少なくなったりする。最悪の場合はリードがプレートに当たって金属音を出したり、リードがプレートにあたって、そのまま動かk無くなって、音が出なくなってしまう。
2)音高 ピッチ
もともと、設定されているピッチを基本に調律するばあい、たとえばA=442ヘルツだったものをそのまま442で調律するときの手順は以下のようなものだ。 (これはいわゆるTOKYOベイアコ方式。 ただし、フランスではこの方法をとっており、ドイツはやや異なる)

1)まず、基本音 第二番目の A音を チューナーで A=442 ヘルツ にきっちりあわせる。

このきっちりというのが、意外と難しい。押し引きの差がでたり、強め、弱めで音高が変わるのはよくない。  かつて、押し引きにピッチ差をあえてつけて、押したとき、引いたとき おとの高さが変わる調律が日本では多くあったようで、いまでも年配の方にはそれがいいという方がいる。しかし、世界のすう勢は押し引きの差はつくらない。

2)5度のインターバルのうなり(ビート)
3度、4度、5度 -- とある音階間の2音を鳴らした時、耳に濁り感、ざわざわ感が聞こえてくる。 調律では一番にごりの少ない5度を多用して調整をする。

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3)まず、次の5度、Aの下のEと合わせる。 一緒に鳴らしてみると、ざわざわと不快なビートが聞こえてくる。 これが毎分91回になるようメータでちかづけ、あとは耳で数える。

91全部数えるのではなく、10秒分 つまり 六分の一 の値 を数える。91であれば 15回強 ということになる。

例えばメトロノームを91に合わせ、鳴らすとそのビートがはっきりが出るので、それにあわせるのが作業しやすい。

以下の数値は5度の各インターバルのうなり(ビート)数である。同じ5度でも48と91、およそ回数にして倍 異なるうなりを出すのが、平均律の調律だ。同じ同業者で 5度のうなりは みな同じだと言っている人がいた。グレゴリオ調律のようであるが、かりにこれで調律すると、12音の最後に大幅狂いが出てくる。恐ろしいことである。

A91→ E 66→ B50→ F#75→C#56→G#85→ D#62→A#48→F 71→ C 53→ AG 80→ D 59→ A(続く)
ただ注意が必要なのは、ビートは 基本音に対しその対象音は、ゼロ(協和点)からはなれたピッチであれば、低くても高くても うなりは同じ回数になる点である。 私はストロボをチェッカーとして多用する。この方法であればマイナスとプラスを取り違える危険はない。

世間には、「調律は耳であわせる」ともっともらしく言われる。確かに合わせたあとに質感をチェックする際、その耳が重要であるのはそのとおりであるが、平均律はメーターのほうが正しく合わせられる。 私は 自分のことを 調律師と言わない。 自分はアコーディオンの修理屋です。調律もいたしますよ、としか言わないことにしている。それほど 世間では 調律師なるものは 天才的な聴覚をもって音を聞き分ける、というイメージがあって、私はそんなすごいことはできないので、修理屋でいいと思っています。
4)ともかく、上記のビート数はそれぞれマイナス、プラスがあり、それを間違えないようにするには、メーターが有効である。とくに上の画像中央にある 緑の窓が12個並んでいるストロボは大変有効につかえる。 12音が一斉にわかるのだが、3倍音や5倍音が 反応するので、調整しやすい。(倍音; これは音作りにかかせないこと。別項で)
Eの次はB,さらにF#と進んで、最後にDの音をとって、それがAとの間で、59回つまり1秒に1回のうなりになっていれば 成功、といえる
5)この方法で完全な1オクターブをつくって、それを、下方、上方へ広げて41なり、なりの音域を決める。ここでもやっかいで、伝説?がある。例えば、下のG、やFは本来の値より低くし、上のF、G、Aあたりは少し高くする、いわゆる「音程カーブ」の考え方である。ほかにも、Bはやや高めがいいとか、Eどうだとかいろいろある。
しかし、きちんとビート数を合わせてそのオクターブ調律を行っていれば、とても信頼できるバランスのとれた音程になる、というのが私のいまの心境である。
5)調律はまず、M(クラリネット)リードを1本完成させ、それから、Lとのインターバルを音でとっていく。これが、また大変たのしくもあり、厄介な調律作業なのだ。あのバンドネオンと称される ML の組み合わせである。ワレすぎてもよくない、うなりが耳につくのもよくない。押し引きで違うのもよくない。

正直、これは永遠のなぞ、といってもいい。 ぴったり協和させる方法と、ほんのわずか、Lを上側に、あるいは下側に置くというのも捨てがたい、いい音がする。私は、中央から下にかけては Lを上にとり、中央すぎで逆交差させる方法が好みであるが、はたしてこれが大正解かどうかはわからない。リードの性格、ボディ、キーボードなどで音色は変わるし、ますます複雑怪奇である。

6)MM ゆれの設計

このMMのゆれはアコーディオン特有の音質であり、弾く人には大きな関心事。それだけに注意深くすすめる。

このMMのゆれはほぼ同一の音高の複数のリードを一緒にならすと、その周期のわずかな違いでいわゆる不協音となってうなりが生じることを逆手に応用したもの。2つの音のずれ幅でうなりの早さ(回数)が変わってくる。当店の標準は 中央のCのお隣のAで各MMを108回を基本にしている。
オクターブ下が62回、上が180回。これはフレンチ式で、日本の伝統うなり回数よりやや少ない(うすい波)となる。オーダーによっては各種の方法をとる。

7)ミュゼット
Mが3セットある楽器をミュゼットといい、M1,M2,M3を一緒にならした時の音をミュゼット音 という。

フレンチワルツにしろ、アイリッシュにしろはたまた抒情歌、演歌にもこのMMMは好まれる。
組み合わせ上、MMに比べ複雑になるが、高いMと低いMを対称的に配置するのが一般的。これも好みによって無数の調整があり、実際各種のミュゼットを実測してみると、それぞれ異なっている。

8)左 バスの調整

このバスの調整は原則はあるが、かなり恣意性が高いもので、L1.L2を比較的厳密に合わせたのちは、M1.M2と5列の場合H1はどちらかといえば好み、で調整されている。うなりの少ないというかゼロ、ユニゾンが5つ一緒に鳴る、というスーパードライの調整から、5列にそれぞれ個性を持たせ、独特なうなり、ざわめき感を出すスーパーウェット まで多様にある。

 

3 修理ルポ

リード まわりのメンテナンス
アコーディオンの修理で一番気を使うのが、リードまわりだということは言うまでもない。
37鍵盤のMMLで 押し引き含め 高音部には222枚、 低音部4列式で96枚、合計318枚のリードが装てんされている。
これが41鍵盤HMML、MMMLなど4セットタイプだと、同様に328枚と120枚 計448枚になる。
この300枚、400枚のリードのコンディションを見極め、音程と、音質、インターバルと和音の響きをつむぎだす作業は、奥の深い、手間のかかるものだ。 センスのよしあしが問われる、難解な作業でもある。

当店でどのような作業をするのかといえば—— 。

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まず、使い込んだ楽器の内部をみてみよう。リードの革がそれたり、サビやゴミがいっぱいだ。
目に見えないほどの細かいホコリは、無数にあるといってよい。

1)リードとブロックの症状
クローズアップすると、そのすさまじいばかりの汚れが見えてくる。 (サビの出たリード)

このほかにも、リード関連の症状は①さぶた革の硬化、変形、カビ、ハガレ リードワックスのヒビ割れ③ワックス熱損傷④エアバルブ孔との位置ずれ⑤リードブロックのゆがみ⑥リードブロックの取付位置ずれ⑦スライダーのサビ、動作不良などがある。

2)革のはりかえ
まず、刷毛と掃除機でゴミを取り除く。状態がひどいかびなどの場合は、戸外で陽にさらす。
そのあと、全ての革をピンセットで取り除き、 リードプレートに付着したのり跡などの汚れをとる。
サビの場合は可能な限り、細いサンドペーパーでサビを落とし、その上にさび止め剤を薄く塗る。

裏のリードのサビはやっかいだ。

これは細いヤスリの表面を裏リード面にこすりつけ、落とすしかない。本格的には、ワックスをはがし、オーバーホールして行うことになる。
リード、ワックス、ブロックのぐあいが全て確認されたのち、次に革を貼っていく。

キーボード編

今回は、ExcelsiorのMML 37鍵120ベース。

症状 「鍵盤を押さないのに音が鳴る。バリバリというノイズが出る。キーの動きが緩慢。ベローまわりの修復」

この楽器は由緒ある「うたごえ」酒場で活躍してきた。もう40年近く働いてきた楽器だ。
ヤマト宅急便で1000Kmの長旅をして、わがクリニックの診察台のうえに横たわっている。その汚れ、へこみ、鍵盤のべっこう色の変色を見ると想像できますか。どんな過去をもっているか。
左右のグリルボタンは、なんとガムテープ。Excelsiorのロゴは全て、どこかへいってしまった。ジャバラのリブはすれてベローの色も変わってしまった。それだけではない。ジャバラを動かすとすかすかで、しかもキーを押さないのに複数の音が出る。鍵盤は、いくつかスタック(押したまま戻りの鈍いキー)している。
実はこういった「ひん死」の状態で、当クリニックに持ち込まれるにはそう、珍しいことではない。
広い日本には、今やおそしと”重症楽器”が再生される日を待ち望んでいるのだと思う。
3-1 鍵盤のオーバーホール

・修理調律で、一番最初に手をつけるのが鍵盤部分。 左の空気開閉バルブも同様に最初に
チェックする。

・なぜ最初に鍵盤なのか? その理由は、内部リードの良しあしも、鍵盤が正常に作動してはじめて、意味をもつ。
たとえば、スタックや、キーパッドからのエアもれ、異音(こすれ音、金属に当たるようなノイズ)

をそのままにしておくと、トラブルは永久に続くことになる。
①グリルカバーをはずす

②スイッチの基盤を分解して本体からはずす

スイッチの左に 伸びた金属の太い線は、先が特殊な留めワッシャで固定されている。ピンセット ピンセットや、細いキリのようなもので、ワッシャを外す。

このワッシャは特殊なサイズなので、決して無くさないことだ。

3-2 キーボードを分解する

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次に行うのが、 鍵盤のアクセル(芯棒)を抜く作業
鍵盤にむかって、右はしの本体との接合部をよく見ると 金属カバーが2つの小ネジで留っている。

それを取り外す。
それから、強力なペンチでのぞいた芯棒(通常2本。 黒鍵用 と白鍵用が独立していることが多い)を抜く。
*一部仕様ではコイルばねで鍵盤をじかにとめる仕様もある (これはばねはずしではずせばすぐ分解できる)

外した鍵盤はナンバーが記入されているかどうか、チェック。
もし記入されていない場合や、うすくて読みにく場合は番号を 書き直し。

うっかり間違えると動かないキーになる。

作業上も少し広い鍵盤入れ(当店では段ボールで作成。

むかし、 農家で使っていたトオミのような形が使い良い)

を使う。

次に行うのが芯棒のさび落とし。
長い年月支えてきた芯棒はところどころサビがでている。

鍵盤にはたくさんのほこり、ゴミがたまっている。
それを刷毛ではきながら、掃除機ですいとっていく。

この細かいほこりは、ジャバラの開閉のたび、本体にすいこまれ.,

押したときは周囲に飛散し、それを肺に吸い込むので衛生上好ましくない。
カビがあるばあいは、消毒用アルコールなので、拭いて根っこから 取り去る。
グリル表面(アルミ合金)のクリーニングも必要。長い年月で、しみ、かびなどが

付着しやすい。

(実は、調律のときは、マスク着用する。これは身を守る長年の知恵。

以前、のどを痛めたことがある。)

どんだけホコリが飛ぶかの実験。朝陽を受けてジャバラの 開閉。
あたり一面飛び散るホコリが朝陽に当たり幻想的でもある )
3-3 鍵盤のさびおとし、クリーニング
1つ1つの鍵盤について以下のことを行う。
①外観のチェック
・表面材の曲がり、うきの有無、芯棒の支点部分の金具(しんちゅう)のサビ、
アームと鍵盤の固定状態、アーム先のエア開閉バルブの接地面(グリルプレート
に設置する面)の 跡 のチェック
②ごみの除去   刷毛でほこりを落とす
③表面材エッジ(ふつう厚み1mm強の表面材が鍵盤の芯材に貼られている。
その厚み分をエッジといい、ここが汚れやすい。 弾くたびに、このエッジが
見えるので、分解の折 クリーニングする。
削らない程度に、やすりや木片でぬぐう。
合わせて、鍵盤手前のかぶせも同様に行う。
④芯棒の支点金具のさび落とし
この部分がスタックの大きな要因。5mmていどの合成ゴムシートにウェスをくるみ、
クリーニング剤を少量つけ、磨く。
*楽器によって、支点の形状が 受け型と、差し込み型とがある。
⑤アームのよごれとり
⑥エア開閉パッドのごみ除去  この跡をよくみる。これで、グリル面との接地状態
~ 位置のずれ、変形~などがよくわかる。
⑦表面材のみがき
当クリニックでは、アルカリ性の研磨剤でみがく。 長い年月のよごれが付着しているので
根気強く、磨く。
*黒鍵のばあい、立ち上がり面の向かって左側面をとくに磨く。ここが汚れやすい。
3-4 鍵盤を入れなおす

芯棒をさしこみながら、高音域から白鍵、黒鍵の順に、交互に装着する。

・スプリングの指定位置を間違えず、入れなおす。スプリングがずれると、鍵盤の

戻りの力が変わってくる、異音が生じます。
・エア開閉パッドの位置が正確に合致しているか確認しながら入れる。

(上記 写真)
ずれがある場合、アーム用金具、ペンチ類で補正する。

本格的にはアームと駒の接合部を外し、正確な位置~エアもれがしない位置、

角度に調整しなおす。溶接は ワックスであることが多い。
・1つを入れ終わるたび、何度かキーをたたき異音の有無を確認する。

あとで、発見すると、もういちどオーバーホールすることになる。

・芯棒はかなりきつく設計されている。 途中で、自分の手では押しきれない

ばあい、固定型ペンチなどを使って少しずつ入れる。

無理に押し込んだり、金づちでたたくと、支点の木部が割れ、大きな損傷になる。

最後に、キーの高さをレベラーで測りながら合わせる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

&アコーディオンのDNA

アコーディオンはいつ、誰が発明したのでしょうか。
アコーディオンは太古の時代から私たちの祖先が知恵を出して作ってきた楽器の集大成ともいえます。

直接的には1822年 ドイツの技術者F.ブッシュマンが楽器の調律用に作った道具、金属リードで鳴るハンドエリオーネだろう、といわれます。

*リード :河川に生えるアシの茎のこと。茎をけずって笛~オーボエなど~の音源にしています。

そこから振動の 簧(した) のことをリードというようになりました。

(写真 ブッシュマン)

アコーディオンは複数のアイディアを集大成した楽器です。F.ブッシュマン以降、C.デミアンはじめ、P.ソプラーニ、ダラッペ、M.ホーナーなどそれぞれアイディアを—-

 

 

 

 

 

 

アコーディオンはいつ、誰が発明したのでしょうか。

アコーディオンは複数のアイディアを集大成した楽器です。

F.ブッシュマン以降、C.デミアンはじめ、P.ソプラーニ、ダラッペ、M.ホーナーなどそれぞれアイディアを競い、加味して楽器としての内容をいっそう豊かにしてきました。

アコーディオンの音源であるリード自体の歴史は古くBC2500年ごろから、中国で使われ始めた笙 (チェン、日本の雅楽に使われるものと同じ)に由来します。それをジャバラの風力で鳴らすという発想はパイプオルガンやポルタティフ(小型パイプオルガン)から、リード自体は手回しオルガン、オルゴールなどから、あるいはオーボエのようなシングルリード楽器から、スイッチはやはりパイプオルガンからのアイディアにも由来すると思われます。

同じ金属リードで鳴るコンサルティナもほぼ同じ時代1829年に、C.Wheatstoneが発明しています。この1800年前半,産業革命によってあらゆる分野で欧州一帯が「新製品」、「新技術」に沸いていたのだろうと推測できます。科学、技術が花開きはじめたのです。

ブッシュマンから数年のち、1829年ウィーンでC.デミアンが現状のダイアトニックボタン式アコーディオンに近いものを作りました。ウィーンはアコーディオンの最初のメッカでまもなくフランス、ドイツ、イタリア、ロシアなどに伝播していきます。ウィーンで有名なものが3列式ボタンでバスも12音あるシュランメルモデルで、これは150年たった今も製造されているようです。(写真 下)
ピアノ鍵盤型のアコーディオンは1854年には出来たそうですが、普及しはじめたのは1920年前後、世界的な「タンゴブーム」がおこったことがきっかけだそうです。ブームでタンゴに不可欠なバンドネオン弾きが足りないなかで、ピアノ奏者を狩り出すため彼らが弾き易いピアノ鍵盤が大いに重宝されたということです。
ところで、アコーディオンを世界に広めた最大の功労者は「船のり」だったのです。長い航海の友に携帯されました。アルゼンチンではバンドネオンが定着したほか世界中で、その土地、文化にあったリード楽器として愛用されていきます。

2つの世界大戦でも従軍する兵士がアコーディオンを携帯しました。どの塹壕にもアコーディオンがあったということです。イギリスのコンサルティナも数多く使用され、終戦後それが払い下げられて、その中にいくつかの名器が出てきたという小説にもなりそうなエピソードがいくつもあります。

1950年から1970年にかけての時代を 「Golden Age of  Accordion」 といいます。この時代極めて数多くのメーカーがアコーディオンを作り世に送り出しました。デザイン、部品も多様で、木材、金属など現代でも入手しにくいものがふんだんに使われ、作られた時代でもあります。この時代の楽器でよく調整されたものは「音質がよい」ことで有名です。

貴重なショット。 右から Gola, Morino。 1960年代後半の写真。

HOHNER工場で不世出の二人の楽器マエストロが最高峰の楽器を目指していた。同じ頃、故郷のItalyでは、毎月 貨物船に満載してアコーディオンが輸出されていた。2人のマエストロはそのバブルをよそ目に、トロッシンゲンで理想とする楽器づくりにまい進していた。 Morinoは当地で没し、Golaは故郷のItaly Stradellaに 帰郷し、まもなく没した。

Gola ツーショット。 時代をへたGola と 弟分 Golina.
1 アコーディオンって、なぜ心地いいのですか?

アコーディオンの修理と調律について、実際に行っている概要、スムースに行う工夫、関連する情報、考え方をご案内します。

楽器のなりたちや機能、調整、不具合の原因などを理解していただくことで、より豊かなアコーディオン・ライフが実現できると信じています。

このスペースでは字数、画像に制限があります。また当方の表現力の不足や資料が足りない部分もあると思いますが、不明な点は「右うえ ご相談問合せ」よりお問合せください。
アコーディオンが注目される背景について。

 

1)アコーディオンがなぜ注目されるか、について。

アコーディオンは第二次ブームの予兆があります。第一次が1950年すぎでしたからちょうど半世紀たっています。

そのアコーディオンの楽器としての特長は何でしょうか。

①メロディ部(右)と伴奏部(左)が一体になった楽器だということ。つまり1人でメロディも伴奏も一緒に、あるいは独立して行うことができる。

②65音域(41鍵盤ピアノ式のHML仕様)あります。 ピアノの88鍵盤に迫る広い音域です。 クロマチックボタン式では79音域もある楽器があります。

③左のボタン1つでコード(和音)がかんたんに弾ける。本来コードは重音で1つのボタンでは弾けないものが、アコーディオンでは可能です。

④ミュゼットトーン(中音域の2重リードセットによる揺れる音)やオクターブ違いのユニゾン(同名音)の和音が弾ける他の楽器に無い、まれな機能を持っている。

⑤ピアニッシモからフォルテまで、電気しかけ無しに音量の拡大、減少 が可能(ピアノやギターではできない機能)

⑥広い音域の中で、ある音域をスイッチで取り出せる。

単一で鳴らしたり、複合で鳴らしたり音質を変えることができる。

(アコーディオンの豊かな音色、情感はこの変幻自在な音の取り出しにもあります)

2010.1.28 NHK総合「生活ほっと」でM.ジャクソンの人気の秘密の報道のなかで、

M.ジャクソンが2つの際立った特長を持った声の持主だと、分析報道されました。

その1つは7つの異なる声の持ち主だということ、2つ目は高音域でビブラートがかかる、

というものです。実は、アコーディオンも全く同じ特長を持っています。

スイッチで変えられる音質(3セットリードで7種、4セットリードでは11種)、ビブラートはミュゼットトーン

に代表されるように、アコーディオンの特長そのものです。

M.、ジャクソンの歌う ヒール・ザ・アース もそうですが、安らぎのある音楽に共通する

特長だと思われます。

⑦何といっても「持ち運べる」、聴き手の目の前まで近づいて演奏できる。

(ケイタイ性は何よりの強みです)

⑧音量が大きい。

⑨質感のある音色(振動源のスチールリード)の倍音特性と、本体で共鳴するふくらみのある音色、低音から高音まで豊かな音域などで、情感を細やかに表現できます。

⑩環境にやさしい楽器だということ。

手入れのよいアコーディオンは40年、50年立派に活躍します。時間がたつにつれてリードの振動が滑らかに作動し、楽器本体も共鳴しやすくなります。この長期に使用できる点が大きいのです。使われる材料も大半が木材で再生可能な資源。若干のアルミニウムと鉄、セルロイドを使用します。重要なことは電源不要であらたにエネルギーを消費しません。

⑪いやし、いやされる音色。

(ストレスの多い現代でアコースティックな音色は電子系音楽に比べこころを癒すという方が多い)。

実際、アコーディオンのMリード(クラリネット:中音域)は女性の声と類似 ~ 母親の子守唄に似ている~ といわれています。

また、精神的に疲れのある状態においては「同質の原理」に基づく音楽療法が有効であるといわれます。

つまりストレスでいっぱいになったときは、自分の感情を溜め込みすぎないで、ある程度吐き出す(カタルシス)ことで、荒らぶるこころが少しずつ平穏に戻っていくものです。

そのとき音楽が有効に働くことはご存知のとおりです。

その音楽は、その方の気分と「同質である」こと。アコーディオンは情感豊かな音色で、硬軟さまざまな音色が出せるため、弾き手のこころをそのまま移すことのできる楽器めずらしい楽器です。

こういった特長を理解しながら、アコーディオンの内部に入っていきましょう。

ITALYをはじめとする世界各地から実績のある楽器だけをセレクトしました。
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