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アコーディオンのメッカ、カステルフィダルドを往く。 NO-5

多少、長居をした。
今日はカステルフィダルドのGABBANELLI工場のことを書きます。 GABBANELLI社というか、個人工場のGABBANELLI一家は、坂の城砦都市、カステルフィダルドのちょうどてっぺんあたりにある。隣がBORSINI、裏はVictoriaだ。
そのGABBANELLIは衰退の大波にのまれながら何とか親子で踏みとどまってきた。 今でもピアノ式、ボタン式各種リードセットのアコーディオンを製造している。もっとも従業員といえば、2代目のウバロと3代目のエリオの2人だけだ。世界で1,2を争う小さな工場だ。かっては20数人の職人がいたという。




あのHohnerも自社製造をやめた。ということは製造業をやめブ゙ランド卸売業に業態転換。「唯一Morinoだけ最終工程のチェックをしている」、とHohnerのマネージャーが言っていた。イタリアのアコーディオン製造会社にそのことを言うと、「それもどうだかネ?もうつくれる職人はいない、らしいけど」と意味深なもの言い。 Excelsiorも先年、閉鎖され多くの職人が離れた。すでにブランドはPiginiに移管され、Paolo SopraniもSHEMに吸収されちまった。



彼ら、カステルフィダルドの職人たちは、隣の工場のことについて多くをかたろうとしない。 それは、かっての仲間が迎えた破局なのだ。いつ自分たちに押しかけてこないとも限らない。「その日」をイメージするからなのだろうか。
GABBANELLIの工場は間口10mほどの1Fに石の階段つづきの2Fと資材置き場、洞窟のようなオフィスからなっている。主に木工を1Fで行い、部品取り付け、セルロイド加工、みがき、調律を2Fでやっている。 もう60年も使ってきている、という掘削工具がそのあたりにいくつかある。刻んで刻んで、来る日も来る日もアコーディオンをつくってきた。ウバロじいさんなんぞ、小学校のころから親父(初代エリオ ガバネリ)の手伝いをしてアコーディオンをつくってきたんだ、と息子がウバロの替わりに説明してくれた。

ほこりのついた資材置き場には黄金時代をほうふつさせる仕上げ用のGOLDやシルバーのセルロイドが無造作に積み上げられている。アメリカの夢を、携帯型ピアノを買って数十マイルも離れたバックカントリーで身近な音楽を。あのプレスリーもジョンレノンも、やはり音楽をはじめた頃アコーディオンを弾いていたという。 時代をへた資材のようにじっと、ひたすらスポットライトがあたるその日を、まっている。カステルフィダルドのGABBANELLIはまだ健在だ。
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